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寺社建築と文化財の探訪<TIAS>

寺社建築の起源、歴史、文化財の紹介と文化財の問題点を探訪しています。 常時更新中です!
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カテゴリー  [ 5-3 世界遺産登録の建造物 ]

5-3 世界遺産登録の建造物

5-3 世界遺産登録文化財

 

 

 

 5-3 世界遺産のための新指定

 

 

世界遺産のため、宮内庁も慣例を破り、国宝にすることを快諾したのが正倉院正倉の建造物です。

   又、文化庁も、世界遺産のため、構成資産候補の建造物を重要文化財に新しく指定しています。


 

 

 1、正倉院正倉

     4-4 正倉院ー2

 

【世界遺産構成資産の候補にするため 無指定の文化財が国宝に指定される】

 

 正倉院の建造物は、元は東大寺の倉庫でしたが、明治以降、国の管理下におかれ、内務省、農商務省と所管省

庁は変遷し、1884年(明治17年)宮内省所管となりました。 第二次世界大戦後は宮内府を経て、最近までは

は宮内庁の正倉院宝庫及び正倉院宝物ば、正倉院事務所が管理していました。

 

前述のように、皇室用財産(宮内庁の各部局(長官官房、侍従職、書陵部、三の丸尚蔵館、京都事務所、正倉院

事務所)が管理する国有財産)の一連の文化財は、「宮内庁による十分な「管理」が行われている」との宮内庁

見解にもとづき、文化財保護法による指定の対象外となっています。 

 

そのため、正倉院の建物や宝物も国宝・重要文化財等には一切指定されていません。最近までは・・・・・

 

   しかし、「古都奈良の文化財」がユネスコの世界遺産として登録されるにあたり、正倉院の建物も、正倉院正倉

として1997年(平成9年)5月18日、文化財保護法による重要文化財に指定され、翌日、法にのっとり 国宝に
  指定されました。(国宝の指定は不動産である宝庫の建物で、動産である宝物類は指定されていない)

 

世界遺産の構成資産の一つになるためです。例外的措置ですと云われています。

確かに、世界遺産の当該文化財は所在国の法律によって保護の対象となっていることが条件で、日本の世界遺産

の登録申請の審査基準では、下記のごとく「国指定文化財が複数以上有ること」となっています。


 

世界遺産暫定一覧表追加記載のための審査基準  文化庁

⑥ 構成資産の候補となる文化財の大半が,国により指定された文化財(国宝若しくは重要文化財又は特別史跡

  名勝天然記念物若しくは史跡名勝天然記念物に指定され,又は重要文化的景観若しくは重要伝統的建造物群

  保存地区に選定されているもの)又はその候補としての評価が可能な文化財であること。

    (原則として,複数の国指定の文化財が含まれていることが必要)


  と記載されています。

 

そして

「古都奈良の文化財」の「東大寺」の一部としてユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されています。

登録する文化財は、国宝でなくてよいのです・・・重文でも良いのですが。なぜ、慌てて国宝にしたのか?

 

又、古都奈良には、正倉院を登録しなくても国宝、重要文化財は、数え切れないぐらいあります。

登録のためには、文化財は東大寺、興福寺の2件で充分なはずなのに・・

それに春日大社・元興寺・薬師寺・唐招提寺も登録候補でした。・・・・・6件いずれも日本代表選手です?

         

         数えると国宝の建造物でだけで25件、充分すぎます。


 

そしてまだ不思議があります。下記の一般向けHPには、登録建造物のリストに正倉院は画面にでてきません。 

 

 古都奈良の文化財世界遺産」「古都奈良の文化財」「古都奈良の文化財」「wiki古都奈良の文化財

 

東大寺に含むと記載しているのは、wikiだけです。   一部だから記載しないのでしょう!

 

東大寺では、管理していないのに?何故

 

 ① 宮内庁は 県、市から国宝指定の打診された時、何故、快諾したのか? (慣例を打破してまでも)

 ② 奈良県は 今更 何故、国宝を必要としたのか?           (国宝は、多数にあるのに)

 ③ 宮内庁は、京都府が、桂離宮 京都御所を国宝指定を打診すれば、快諾するのか?(しない)

 

● 正倉院の世界遺産登録のための国宝指定の目的が理解できません。単純に、東大寺所有なら以前から国宝

  に指定されていたでしょう・・・・調べても、答えが出てきません。

 

 ① 宮内庁と県の予算が減額された?            「国宝」指定で文化庁の予算が確保できる。

 ② 「世界遺産」のほうが「国宝」より高額予算がつく?   県も宮内庁も、双方とも予算が増える?

          

           予算、獲得以外に、何が推察できるのか、ご意見を!

 

           正倉院は、快諾・・・桂離宮は、駄目・・・何故? 


 

 

 

2、世界遺産登録の前後に新しく国指定をした文化財 

 

1)群馬県 旧富岡製糸場 2006年に重文指定 2015年に世界遺産になったとたんに新国宝


     4-4 富岡製糸ー1

 

2006.07 世界遺産登録のため重要文化財指定 8年後に世界遺産登録で国宝  安直に国宝にして良いか?

重文の時から、何が特に優れた発見があり、確証があったのか?   全く理解に苦しむ国宝指定です!

                 参考 富岡製糸場が意味するもの

 【文化庁解説文】

 2014 旧富岡製糸場 1棟(群馬)   

 

旧富岡製糸場は,明治政府が設立した模範的な器械製糸工場である。フランス人の生糸検査人ブリュナの企画指導のもと,

横須賀造船所の技師バスティアンが図面を作成し,施工は日本人があたり,明治5年10月4日に操業を開始した。

3棟はいずれも木造の軸組に壁を煉瓦積とした木骨煉瓦造である。繰糸所は敷地の中心に位置する繰糸を行う建物で,桁行

が140mと長大である。キングポストトラスの小屋組や高い天井,鉄製ガラス窓で明るい大空間を実現している。東西の置

繭所は,繰糸所と直交方向に建つ桁行104m,二階建,ほぼ同形の建物である。繭を乾燥,貯蔵し,乾燥のために多数の窓

を持つ。東置繭所は入口正面の建物でアーチの要石に「明治五年」の銘を刻む。

旧富岡製糸場は,明治政府が推進した産業近代化の政策を端的に物語る官営の器械製糸工場で,繰糸所と東西の置繭所は,

我が国の製糸工場建築の模範となった。極東地域において,西洋,特にフランスの技術を導入し,日本固有の技術と融合さ

せることで産業革命を成し遂げ,世界の絹文化の発展に大きく貢献した我が国の絹産業の拠点施設であり,文化史的に深い

意義を有している。

 

 

2)国立西洋美術館本館

    4-4 西洋美術館

 

【文化庁解説文】

① 2007年重文指定  国立西洋美術館本館  昭和34年新築の現在最新の重文  2016世界遺産登録予定

 

国立西洋美術館本館は、我が国がフランス政府から旧松方コレクションの寄贈を受けるに当たって、昭和3 4 

年に建てられた美術館建築である。設計はフランスの建築家ル・コルビュジエによる。また、前川國男、坂倉準

三、吉阪隆正が日本で設計補助を行った。建物は鉄筋コンクリート造2 階建、一部3 階建、地下1 階で、平

面は40.7m四方の正方形である。

  中央に吹き抜けの19 世紀ホールを配し、そこからスロープを上がって2階の展示室を廻る螺旋状の動線は、

ル・コルビュジエが探求してきた「無限発展美術館」の構想を具現化したものである。他にも、ピロティ、自然

光を取り入れる照明ギャラリー、人体寸法を基本とした寸法体系(モデュロール)を適用した細部など、ル・コ

ルビュジエの作品に特有の優れた意匠が見られる。

 

国立西洋美術館本館は、ル・コルビュジエの我が国に所在する唯一の作品であり、意匠的に優れているのみなら

ず、以後の日本人建築家にきわめて大きな影響を与えた建築である。また第二次世界大戦後の日仏文化交流の起

点となった建物としても深い意義が認められる。

○指定基準=意匠的に優秀なもの、歴史的価値の高いもの

 

【世界遺産登録への過程】

1998年:地下を含めすべてを地盤から絶縁する大規模な免震レトロフィット工事を行った

2006年:フランス政府が申請し、ル・コルビュジエの建築が世界遺産の暫定リストに登録

2007年:日本政府は、国立西洋美術館を世界文化遺産の候補として、ユネスコの世界遺産暫定リストに記載

2007年:12月重要文化財に指定 

     建造物の重要文化財指定の目安は従来築50年以上のものが対象とされてきた48の時点での指定

     で目安を超えた初のケースであり世界遺産登録のため急遽重要文化財に指定されたものである。

2008年:2月、世界の6カ国(フランス、スイス、ドイツ、ベルギー、アルゼンチン、日本)にあるコルビュ

     ジェ作品19件を「ル・コルビュジェの建築と都市計画」としてユネスコ世界遺産に一括推薦しまし

     たが、世界遺産委員会での審査で、普遍的な価値の証明や保存管理状態などの課題が指摘され、

     登録は見送られた

2011年:2月、フランス政府は、構成資産を変更し「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な

     貢献-」として再度推薦しましたが、世界遺産委員会での審査で「登録延期(推薦書を再提出するこ

     とで登録可能)」となりました。

2014年:「ル・コルビュジエの建築作品(国立西洋美術館・本館を含む)」を、フランスをはじめ7か国と共

     同で世界文化遺産に推薦することを正式に決定。(インドが参加)

2016年:ユネスコ世界遺産委員会で登録の可否が審議される予定になっている。

 

日本近代建築の中で、確かに重要な位置づけと評価できるが、推薦を始めてから10年を経て来年に登録される  

ことを祈念したい。

 

● 世界遺産候補推薦のため急遽、新しく重要文化財(国宝)を指定するのは、日本の文化財管理に確固たる基

  準が無い事を世界に公表していることになる。(富岡製糸、長崎教会群など)

 

       「長崎県の教会群」にも、新らしい指定の重要文化財が多くあります。


 

 

 5-3-2  個別候補の問題点

 

 

 ・長崎の教会群とキリスト教関連遺産

 

1)長崎県の教会群

4-4 大浦天主堂ー3  4-4 崎津カトリック教会ー1
                 大浦天主堂                崎津カトリック教会


 

重要文化財だけで、新しく5件が指定されました。その他 国選定重要文化的景観 「天草の崎津集落」「野崎島

の野首・舟森集落跡」等が指定され、世界遺産登録への準備が進んだのです。

長崎県には、国宝は大浦天主堂ぐらいしかなかったのに、たいしたパワーです。

 

【長崎県の世界遺産登録の過程】

長崎県では、正式に世界遺産として登録されるために、関係市町と情報共有を図って、保存管理計画の策定や国

内外の同じような資産との比較研究などの一体的な取り組みを進めることとし、2007年11月12日に「第1

回 長崎県世界遺産登録推進会議」を開催した。

 

この推進会議はその後も開かれ、2012年6月までに5回開催されている。

このうち2012年1月の第3回推進会議では、29の構成資産を14に整理することが承認され、第4回および第

5回推進会議を経て、現在は13資産が構成資産とされている。

 

2013年8月に開催された文化庁の文化審議会では「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を同年度中の正式推

薦候補とされたが、内閣官房地域活性化統合事務局の有識者会議では「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と

関連地域」が推薦候補とされた。(経過は、後述します。)

政府は最終的に「明治」を2015年度の推薦物件とすることを決定し、「長崎」の推薦は2016年度に決定した。

 

【構成資産の13件】

   大浦天主堂国宝 1953年指定  1865年(元治2年)に建立  日本最古の現存するキリスト教建築物

 出津教会堂と関連遺跡(旧出津救助院含)    2007年世界遺産暫定リスト 2011年重文指定

 大野教会堂(重要文化財)           1893年(明治26年)竣工 2008年重文指定

 日野江城跡(国の史跡)

 原城跡(国の史跡)  

 黒島天主堂(重要文化財)           1902年竣工        1998年重文指定 

 田平天主堂(重要文化財)           1908年竣工        2003年重文指定

 平戸島の聖地と集落

 旧野首教会堂と関連史跡 2001年以降無人島  1908年竣工        1989年 県指定

 頭ヶ島天主堂(重要文化財)          1919年竣工        2001年重文指定

 旧五輪教会堂(重要文化財)          1881年竣工        1999年重文指定

 江上天主堂(重要文化財)           1918年竣工        2008年重文指定

 天草の﨑津集落(﨑津教会の位置を示す)

 

 

2013年8月に開催された文化庁の文化審議会では「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を同年度中の正式推

薦候補とされたが、内閣官房地域活性化統合事務局の有識者会議では「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と

関連地域」が推薦候補とされた。(経過は、後述します。)

政府は最終的に「明治」を2015年度の推薦物件とすることを決定し、「長崎」の推薦は2016年度に決定した。

 

長崎県は、文化庁に一生懸命、陳情して国指定文化財を増やしてきました。

 

【最近指定の重要文化財を文化庁データーベース解説文】

 

① 2001年重文指定 頭ヶ島天主堂 

頭ヶ島天主堂は,五島列島中通島の東方にある長径2km余の小島にある。

鉄川与助の設計,施工により,明治43年に着工,大正8年に竣工した。小規模ながら類例の少ない石造で,内外とも斬新な

意匠をもち,長崎を中心に数多く残る離島,辺地の教会堂のなかでも傑出した遺構として,重要文化財に指定されている。

境内地は,島北の入り江に面した小集落の奥,緩やかに傾斜する山裾の一段高い位置にひらかれている。

天主堂の周辺には,石造の門柱一対をはじめとして,同時期の石垣,石段などもよく残り,いずれも丁寧な仕事になる。

これらの工作物及び地勢を巧みに活かして造成された境内地は,周辺環境と一体となって良好な風致を形成しており,天主

堂とともに保存を図る。

 

② 2003年重文指定 田平天主堂  たびらてんしゅどう 

田平天主堂は,長崎県北部,海峡を介して平戸島を西望する位置にある。設計及び施工は鉄川与助で,大正4年12月着工,

大正7年5月14日に献堂式が行われた。

木造及び煉瓦造の教会堂で,屋根は小屋組木造キングポスト・トラスの桟瓦葺である。主体部は三廊式バシリカ型の長方形

平面で,重層の断面形式をそのまま現した正面中央に八角形ドームを戴く鐘塔を備える。

長崎を中心に九州地方で建設された煉瓦造を主としたカトリック教会堂の最晩期に属し,重層構成にもとづく外観や内部空

間など,最も整った姿をみせるものの一つであるとともに,意匠的にも優れている。

司祭館をはじめ,門柱,石段,石垣などが残り,周辺の歴史的環境がよく保存されている点も貴重である。

 

③ 2008年重文指定 江上天主堂  

 江上天主堂は大正7年の建築で、鉄川与助の設計・施工になる。建物は、木造下見板張、切妻造桟瓦葺の三廊式教会堂で、

玄関は身廊部の内側に設け、祭壇部の左右に香部屋を配し、廊下で繋ぐ。

江上天主堂は、重層屋根構成、内部三層構成の木造教会堂であり、我が国における木造のカトリック教会堂建築のうち完成

度の高い作品として、歴史的価値を有する。また、長崎県を中心に多くのカトリック教会堂を手がけた鉄川与助の代表的木

造教会堂建築としても重要である。

 

④ 2008年重文指定 大野教会堂   

大野教会堂は、大浦天主堂から外海地区の主任司祭として赴任したマルク・マリ・ド・ロ神父が、明治26年に建設した巡

回教会である。教会堂は、会堂部と司祭室部からなり、会堂部の周囲に、割石を漆喰で固めた「ド・ロ壁」と呼ばれる壁体

を築き、小屋は木造キングポストトラスとする。

大野教会堂は、数少ない巡回教会の遺構例であり、巡回教会の規模、会堂構成を知るうえで高い歴史的価値が認められる。 

また、「ド・ロ壁」、キングポストトラスなど、ド・ロ神父の建築技法が典型的に示されており、重要である。

 

⑤ 2011年重文指定 出津教会堂(しつきょうかいどう)

 出津教会堂は、長崎市北西部の西彼杵半島の西岸に所在する。現在の教会堂は、フランス人宣教師マルク・マリー・ド・ロ

通称ド・ロ神父によって建設されたもので、明治15年に献堂式が行われ、正面および背面の増築を経て明治42年に現在の

姿となった。尾根上を造成した敷地に建ち、桁行36.3m、梁間10.9m、正面中央に鐘楼、背面中央に小塔を立て、側面に

日常の出入口を開く。内部は三廊式の平面で、陽光を背にする南東の身廊側に祭壇を置く。列柱と採光の組合せにより、祭

壇への指向性を強調する空間構成は約30年におよぶ建設工事におけるド・ロ神父の一貫した設計思想を示している。

出津教会堂は明治前期に建設された希少な初期教会堂の一つで、後世の増築も、同一の設計者によって均整を保った拡充が

図られており、高い価値が認められる。

 

※2009年7月25日長崎新聞掲載 

1907年に完成し、五島におけるキリスト教布教の中枢となった「堂崎教会」(五島市)は長崎県のキリスト教史を語る上で

重要との見方が多いが、現状では県の有形文化財にとどまっているため、構成資産に決定していない。

県教委学芸文化課によると、同じれんが造りの教会堂として、田平天主堂が既に国の重要文化財に指定されているため、異

なるアピール点がなければ国指定になれないという。同課は教会建築を研究する大学教授の報告書を国に提出し、重要文化

財指定を働き掛けている・・・・未だ実現せず。 登録後の指定か?

 

          さすがに最近の、新指定の文化財の解説文は、文章量が多い!

 

⑥ 長崎県指定  堂崎教会  登録文化財にならなかった教会

西坂で処刑された26人の殉教者の1人,ヨハネ五島という五島出身の青年を記念して,日本26聖人殉教者聖堂と命名さ

れた。創立は明治12年(1879)であるが,現在の天主堂は明治40年(1907)5月竣工。

翌41年にペルー神父によって,献堂式が挙行された。建造に当たったのは,長崎浦上天主堂建立を企画したフレノー神父

ではないかと考えられている。設計施工は野原与吉で鉄川与助はこれを補佐した。煉瓦造,ゴシック風様式で,落着きと安

定感のある,美しい外観を有し,五島内の他の同型天主堂のモデルとなっている。内部は木造で,色ガラス窓,コーモリ天

井は型の如くである。かつては全五島の布教の中枢基地であった。また,社会奉仕施設や修道院の草分けでもあり,キリシ

タン史上からも重要な位置を占めている由緒ある天主堂である。現在は巡回教会となっている。 

          文化庁もこれだけ新指定しているなら重文にしてあげても・・・

 

 

 

【顕著な普遍的価値】

世界史に類を見ない250年に及ぶ長期の潜伏を経て復活した我が国のキリスト教布教とその受容の歩みを示し、

また、和洋の建築技術の融合、優秀な自然環境と一体となった文化的景観など優れた価値を持つことから顕著な

普遍的価値があり、世界遺産として登録されるにふさわしい文化遺産であると考える。・・・としている。

 

「西洋の建築技術と日本の伝統技術が融合した見本」としての教会建築の文化財も揃いました。

 

                でも、心配な点があります。

 

 

【長崎教会群の問題点】

1)五島市久賀島(旧五輪教会堂)、奈留島(上天主堂)の過疎化にはどめがかかるか?

  野崎島(旧野首教会)は無人島で、観光の交通手段も問題です。道路も狭い。

 

2)過疎化による、教会群の保存、維持管理の人材が不足する。神父さんも教会を掛け持ちで管理!

現在は、聖堂の中に自由に入館できる教会もあり、災害時のリスク管理は不安である。

神父、管理者不在では教会文化の伝道はどうなるのか・・・高齢者のボランティアの大募集?

 

3)地域カトリック信者にとっては日々の静かな信仰生活の場であり阻害してはならない。

日本のカトリック信者は45万人、東京が10万人(1位)、長崎が6万5千人(2位)

信者の人口密度は東京の10倍と・・・長崎の信者以外の発言は控えましょう。
  奈留島の信者はかつて「江上天主堂の世界遺産化反対」の決議を出したことが有る。

 

4)古社寺の世界遺産とは異なり、聖地巡礼的要素が大きくなり、登録後は、観光目的と巡礼目的に2極化され

  る対応、管理が必要となる。観光客と礼拝もする信者対応が、各々的確なことが集客のポイントとなる。

 

  キリスト教の信者人口の多い韓国の格安航空会社「ジンエアー」は、教会群がある長崎への観光客増加を見

  込み、長崎~ソウル間の増便をを決定している。来場者増加が見込めるのならばその対応、伝承、工程管理

  は、「キリスト教信者」が適切となり人材不足が懸念されます。

 

  地元研究機関の調査によると、登録初年度に教会群には11万~26万人の観光客が訪れるそうだが、

  300~700人/日平均でピークは、1000人を越えるとなると的確な対応には100人は必要では?

 

5)ユネスコ世界遺産審査は、フランス、イタリア、スペインが主体性を持っています。

そしてその国は、カトリックです。「石の文化」のメッカ、「教会建築の殿堂」の人たちから、長崎がどう

写るのかも心配!・・・・「宣教したが、すぐ250年鎖国、明治になって復興」が主題ですから

 

 そして、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の推薦が1年遅れた「事件」について記述します。

 

 

 

2)産業革命遺産:「明治日本の産業革命遺産九州・山口とその関連地域」

    4-4 万田抗ー2
                          
万田抗

 

【概要】

我が国の近代化は、幕末における西洋技術の導入以来、非西洋地域で初めて、かつ極めて短期間のうちに飛躍的

な発展を遂げたという点において、世界史的にも特筆されるべきものである。

その飛躍的な発展の大きな原動力となったのが、アジア大陸に近いという地理的特性により、古くから日本と海

外を結ぶ窓口として発展してきた九州・山口である。

「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」は、造船、製鉄・製鋼、石炭産業の重工業分野に西洋技術

を移転する上で他に類を見ないプロセスを証明する資産群であり、非西洋地域において近代化の先駆けをなした

経済大国日本の原点を訪ね、語り継いでいく上で、極めて重要な遺産群である。

 

【資産の概要】

「明治日本の産業革命遺産九州・山口と関連地域」は,19世紀後半より20世紀初頭にかけて,幕末から明治期

の日本における重工業分野(造船,製鉄・製鋼,石炭産業)の急速な産業化の道程を,時間軸に沿って証言する

一連の産業遺産(現役産業施設を含む。)により構成されている。これらの資産は,九州・山口と関連地域(8

県11市)に立地し,地理的に分散しているが,群として全体で,「西洋の科学技術の伝播の波が伝統的な日本

の文化と融合し,日本が極めて短い間に産業化を遂げたことは,技術の歴史等において,極めて類希なことであ

る」等の顕著な普遍的価値を有し,一つの範囲を構成する

 

【構成資産】

 推薦資産は、広範囲に点在する複数の物件をまとめて一つの遺産とするシリアル・ノミネーション※による

 アプローチであり、8県に亘り、全30資産により構成されている。

 

福岡県北九州市・中間市  官営八幡製鐵所関連施設  

福岡県大牟田市      三池炭鉱専用鉄道敷跡   三池港   三池炭鉱 宮原坑    三池炭鉱 万田坑

長崎県長崎市       小菅修船場跡  旧グラバー住宅   高島炭坑   端島炭坑  三菱長崎造船所関連施設

佐賀県佐賀市       三重津海軍所跡

熊本県荒尾市       三池炭鉱 万田坑      三池炭鉱専用鉄道敷跡

熊本県宇城市       三角西(旧)港

鹿児島県鹿児島市     旧集成館(反射炉跡)   旧集成館(機械工場)   旧集成館(旧鹿児島紡績所技師館)

             寺山炭窯跡        関吉の疎水溝

山口県萩市        萩反射炉   恵美須ヶ鼻造船所跡   萩城下町  大板山たたら製鉄遺跡   松下村塾

岩手県釜石市       橋野鉄鉱山・高炉跡

静岡県伊豆の国市     韮山反射炉

 

前述の、「3、日本の世界遺産の現状」に有る 世界遺産暫定リスト掲載物件のなかで構成資産の数は多い。

これデモか!と並べた感じがします。

 

※シリアル・ノミネーション

 複数の連続性のある資産の推薦のことをいう。連続性のある資産について、「世界遺産条約履行のための作業指針」に次

のように定められている。 

1.同一の歴史・文化群、2.地理区分を特徴づける同種の資産、3.同じ地質学的、地形学的形成物、又は同じ生物地理

区分若しくは同種の生態系に属する関連した構成要素が、個々の部分ではそうでなくとも、 全体として顕著な普遍的価値を有するものである。ひとつの締約国の領域内に全体が位置する場合もあれば(連続性のある資産 )、異なる締約国の領域にまたがる場合もある(連続性のある国境を越える資産 )。

 

【世界遺産登録活動の過程】

 

2008年12月15日、文化庁が追加申請を決め、翌2009年1月5日に暫定リストに追加掲載された。

2014年1月29日にユネスコへ推薦書が提出され、9年26日から10月5日までユネスコ諮問機関イコモスの

現地調査が行われ、2015年6月28日から7月8日に開催される第39回世界遺産委員会で登録審査が行われる。

 

【反対意見】

韓国の尹炳世外相は「九州・山口の近代化産業遺産群を世界遺産に登録することは世界遺産登録の基本精神に反

する」と登録に反対し、ユネスコなどに対して、登録阻止を働きかけている。構成資産のうち長崎造船所や端島

炭坑で、第二次世界大戦中に多くの朝鮮人が徴用され、多くの犠牲者を出したというのが主な理由。


      4-4 尚古集成館
                          
尚古集成館

 

【問題点】

1)岩手県釜石市の追加の経緯

  震災復興!

2)萩市の動向

2008年世界文化遺産暫定一覧表への記載が決定時には、萩市城下町(萩市・山口市・防府市・山口県)の

提案「萩-日本の近世社会を切り拓いた城下町の顕著な都市遺産」(※前回提案名称:萩城・城下町と明治

維新関連遺跡群)を追加申請を併行して活動していた。萩市としては、独自路線を放棄せざるを得ない状況

になり、九州近代化遺産に載らざるを得なかった・・・ここに、下記の問題点が生じている。

 

3)シリアル・ノミネーションの疑問

        4-4 萩ー1   

萩市の江戸末期からの城下町としての著名度は、高く、有数の日本の観光スポットである。

城下町を、近代産業遺産の中に強引に潜り込ませざるを得なかった、萩市の無念が良く感じられるが、同時

に矛盾点になっている。

 

 「1.同一の歴史・文化群、2.地理区分を特徴づける同種の資産」シリアル・ノミネーションの基準

構成資産のなかに一見して異物な資産が散見されます。

 

① 萩城下町 :「堀内地区重要伝統的建造物群保存地区」、「浜崎伝統的建造物群保存地区」、「常念寺

        表門」、「東光寺」、「大照院」等の重要文化財が有るが萩城下町の街並みが最大の売り

        です。「萩-日本の近世社会を切り拓いた城下町の顕著な都市遺産-」の名称に至る変更

        を重ねて来た結果で 時すでに遅しですが、本来外れるべきだったかもしれません。

        「国指定史跡である萩城跡をはじめ、萩城城下町、京都に次ぐ市内3ヵ所の重要伝統的建

        造物群保存地区及び旧萩藩校明倫館等に加え、城下町形成に不可欠な文化財未指定の川や

        エリアを盛り込んだ総資産数・・・」に徹すべきであったかも知れない。

        金沢などの城下町との共同戦線も検討の余地はあったのでは、

 

  ② 松下村塾 : 江戸時代末期(幕末)に長州藩士の吉田松陰が講義した私塾。 

         萩市の松陰神社の境内には、修復された当時の建物があるが文化財ではなく、国史跡です。

         産業近代化に貢献した人が輩出されたことで登録されたようですが、久坂玄端、高杉晋作、

         伊藤博文、山県有朋、山田顕義、品川弥二郎など、明治維新の原動力となり、明治新政府に

         活躍した多くの逸材を育てたことの方が、著名です。

 

  ③ 旧グラバー邸:1863年に建てられた日本最古の木造洋風建築

         1961(昭和36)年に主屋と附属屋が国の重要文化財に指定された。1974(昭和49)年に

         は、外国人居留地であったこの地に元々あった国指定重要文化財の旧リンガー住宅・旧オル

         ト住宅や市内の移築復元した6つの明治期の洋館とともに、「グラバー園」の中心となる施

         設として開園している、九州を代表する観光スポットです。これが産業遺産???

         「三菱重工業 長崎造船所を見下ろす位置にあったため1939年(昭和14年)に戦艦武蔵の

         建造を秘匿する目的で買収され、所有が三菱重工業へと移った」点が関連しているとの判断

         でしょうが、誰が見ても、一時の所有者が金と権力で保有しただけで資産的価値に繋がるも

         のではないことは、明解です。

4)その他の問題点

 ・「萩の城下町」から「造船所のドック」まで一見バラバラな資産を、ユネスコが納得する明確なコンセプト

  でまとめることが出来ているとは、上記の指摘からもいえない。これでよいですか?

 

 ・稼働資産について、史跡なり文化財保護法としては扱わないので、内閣府でこの九・山を扱う具体策は?

  文化財として、本来は稼働も非稼働も無いはずどの法律でどこの機関が管理運営していくのか不明です。

 

・「三菱造船所、八幡製鐵所」には現状、非公開施設が多くあります。どうするのですか?

 

 ・これらの他に、逆に明治時代の産業遺産候補は、これだけなのか?という疑問も生じてきます。

 

 ・日本の国内観光で、これらを訪問する人がどれだけいるのか? 社会科見学、修学旅行の候補!

 ・日本人が、訪問しないで、外国人にも興味、関心を持つのか、徹底したPR戦略が必須です。

 

登録資産候補の検討が充分でなく、強引に、釜石、萩を編入した感は拭えません。

ユネスコの審査で指摘されない、鎌倉にならないことを祈念します。

 

 

 

 5-3-3  候補推薦の問題点

 

 

 ● 「産業革命遺産」と「長崎の教会群」の候補推薦の問題点

  

  2015年夏の世界遺産推薦は、「産業革命遺産」、「長崎教会群」は先送りが決定!

 

  毎日新聞 20130914日 東京夕刊

政府は14日、2015年夏の世界文化遺産登録を目指し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に「明治日本の

産業革命遺産 九州・山口と関連地域」(福岡、長崎、鹿児島など8県)を推薦する方針を固めた。

9月中にユネスコに推薦手続きが取られる。世界文化遺産への各国の推薦枠は年1件で、内閣官房が推薦する

「産業革命遺産」と、文化庁が推薦する「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎、熊本両県)のどちらに

するか、菅義偉官房長官に一任されていた。

 

「産業革命遺産」の勝利・・・当然・・・・何故。その背景を探査してみました。 

 

 1)政府の動向

 

   ユネスコは大聖堂や城郭といった宗教遺産や著名観光地に世界遺産が偏っている現状を見直し、産業遺産を積

   極的に登録する方針を取っている。これは1995年ごろからの動きで、現在まで日本は対応したことがなかっ

   た。文化庁の文化財偏重もあったかも知れないが、産業界からの圧力もあり「稼動中の産業遺産として登録す

   る」体制整備を開始した。

    

 ・平成23年3月7日「産業遺産の世界遺産登録等に係わる関係省庁連絡会議

 ・平成24年4月8日 閣議決定「規制・制度改革に係わる方針」における

           「稼働中の産業遺産の世界遺産への登録」   決定

 

 文化庁の文化財審議会が世界遺産の国内候補を決定していた。しかし「稼働中の産業遺産」に対しては、文化

 財の現状変更に文化審の厳しい規制が有るため? 文化庁は、外されました。

 三菱重工長崎造船所の第3船渠など稼働中の資産は、文化財保護法では保全できないからです。

 

 内閣府が独自で「稼働中の産業遺産」を世界遺産を先行する枠組みを決定しました。

 政府が決めるのだから 当然「産業革命遺産」の勝利は確実でした。

 

● 世界遺産「官房長官が最終判断」 文科相が推薦一本化で説明   平成25年 2013/08/30 12:58   【共同通信】

  下村文部科学相は30日の記者会見で、文化審議会と内閣官房の有識者会議が本年度に、それぞれ別の候補を世界文化遺産に推薦してい

  ることについて「最終的には菅官房長官の下で一本化する」と述べ、菅氏が判断するとの認識を示した。

  2015年の世界文化遺産登録を目指し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦する候補は、文化審が「長崎の教会群とキリスト教関

  連遺産」(長崎県、熊本県)を選定。一方、内閣官房地域活性化統合事務局の有識者会議は福岡、鹿児島など8県が関わる「明治日本の

  産業革命遺産 九州・山口と関連地域」を推している。ただ絞り込む基準や枠組みは明確でない。

 

 政府内での「文化庁」、「内閣府」の2本立てで世界遺産の選定をしているという、世論の反論に対し急遽こ

 のような報道をしておいて、平成25年9月14日に決定発表をしています。


    4-4 大江天主堂ー1  

                           大江天主堂  重文ではない 


2)政府の行動の背景

   

   登録遺産が、記念的建造物への偏重していることの対策の検討が、1994年第18回世界遺産委員会(タイ・

   プーケット)で 行われ、世界遺産リストの典型像構築のための世界的戦略(global strategy)が討議され下

   記の内容が採択されていた。  

 

  【内容】・ 遺産リスト上の記念建造物の偏重を改め,広範囲な文化的表現として捉えるべき。

       (例:「人間と土地の共存を示す事例」や「社会における人間の諸活動をあらわす事例」等)

      ・ 文化的景観,産業遺産,近代建築の分野における遺産が不十分との指摘。    

  (The Global Strategy for a Balanced, Representative and Credible World Heritage List)

     グローバル・ストラテジーの中では登録遺産の記念的建造物への偏重が、文化遺産に多面的かつ広範な視野を狭める傾向を招き、ひい

     ては生きた文化(living culture)や伝統(living tradition)、民俗学および民族的な風景、そして普遍的価値を有し、広く人間の諸活

     動に関わる事象などを対象から除外する結果となっていることが再確認された。

 

     さらに、世界遺産一覧表を代表性及び信頼性を確保したものにするためには、遺産を「もの」として類型化するアプローチから、広範

     囲にわたる文化的表現の複雑でダイナミックな性格に焦点をあてたアプローチへと移行させる必要のあることが指摘され、人間の諸活

     動や居住の形態、生活様式や技術革新などを総合的に含めた人間と土地のあり方を示す事例や、人間の相互作用、文化の共存、精神・

     創造的表現に関する事例なども考慮すべきであることが指摘された。

     以上のような指摘を踏まえ、現在、比較研究が進んでいる分野として、・産業遺産・20世紀の建築・文化的景観の3つの遺産の種別

     が示された。

 

    産業遺産を推奨する動きに対し、日本の産業力をアピールする絶好機として、世界遺産登録を目指す機運が

    政府内や自治体そして企業まで高まってきました。稼働中の企業設備が含まれることになるわけですが、こ

    れが文化庁から世界遺産候補決定の権利?を政府が取り上げる理由になったようです。

    文化財保護法は稼動している施設は保護できないことになっているようです。

 

 

  3)内閣の有識者と文化庁委員

 

 「内閣官房地域活性化統合事務局の有識者会議」

 「文化庁 世界文化遺産・無形文化遺産部会」 の二つの有識者会議がある。

 

  ●内閣府 稼働資産を含む産業遺産に関する有識者会議構成員

     http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/yuushikisya/kadouisan01/sankou01.pdf

   五十嵐 敬喜   法政大学法学部教授、弁護士

   伊東 孝     日本大学理工学部特任教授

   小野寺 英輝   岩手大学工学部准教授

   工藤 和美    東洋大学理工学部建築学科教授

   工藤 教和    慶應義塾大学名誉教授

   後藤 治     工学院大学建築学部教授

   佐藤 禎一    国際医療福祉大学大学院教授

   島田 精一    日本ユニシス株式会社特別顧問

   下村 満子    ジャーナリスト、元「朝日ジャーナル」編集長、

   杉山 伸也    慶應義塾大学経済学部教授

   鈴木 博之    青山学院大学総合文化政策学部教授

   武田 晴人    東京大学大学院経済学研究科教授

   中島 秀人    東京工業大学大学院社会理工学研究科教授

   野原 佐和子   株式会社イプシ・マーケティング研究所代表取締役社長

   日枝 久     株式会社フジテレビジョン代表取締役会長

   松浦 晃一郎   立命館大学特別招聘教授

   松尾 宗次    鉄鋼の研究者

   松岡 資明    日本経済新聞社編集局文化部編集委員

   宗田 好史    京都府立大学大学院生命環境科学研究科教授

   ニール・コソン卿   イングリッシュヘリテージ元総裁(英国)

   マイケル・ピアソン  ヘリテージプランニングコンサルタント(オーストラリア)

   ディヌ・ブンバル   イコモス・カナダ会長(カナダ)

 

 

  ● 文化庁  世界文化遺産・無形文化遺産部会委員名簿

   (平成25年4月19日現在)

       http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/isanbukai/pdf/bukai_meibo_ver2.pdf

         稲葉信子  筑波大学大学院教授  内田 篤呉  MOA美術館副館長

         神崎宣武  旅の文化研究所長   河野俊行   九州大学大学院教授

         五味文彦  放送大学教授    ◎ 西村幸夫 東京大学先端科学技術研究センター所長

 

  ● 文化庁  世界文化遺産特別委員会委員名簿

      http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/sekaibunkaisan/meibo.html

   足立 久美子     歴史街道推進協議会メインルート事業部課長 

   稲田 孝司      岡山大学名誉教授

   今村 啓爾      東京大学名誉教授              

   岡田 保良      国士舘大学教授

  ○金田 章裕      人間文化研究機構機構長京都大学名誉教授

   小風 秀雅      お茶の水女子大学教授           

  ◎五味 文彦      放送大学教授 東京大学名誉教授

   斎藤 英俊      京都女子大学教授

   佐藤 禎一      国際医療福祉大学大学院教授

   佐藤 信       東京大学大学院教授

   佐藤 友美子     財団法人サントリー文化財団上席研究フェロー

   西山 徳明      北海道大学教授

   広瀬 和雄      国立歴史民俗博物館教授

   藤井 文子      株式会社山と渓谷社自然図書出版部編集長

   星野 知子      女優・エッセイスト

   堀 信行       奈良大学教授

   惠 小百合      江戸川大学総合福祉専門学校校長

 

  ● 文化審議会世界文化遺産・無形文化遺産部会

      世界文化遺産特別委員会ワーキンググループ委員名簿

 

 わざわざ名簿を並べてみました。どうゆう人たちなのかな? ダブってはいないのかな?

 素晴らしい人たちが、宮内庁と、内閣府に分かれて個別に論議するのです。連絡は無い!

 内閣府の「産業革命遺産」推薦これ一本です。

 文化庁は、「長崎教会群」推薦なのですがこれに至るプロセスを持っています。

 

 内閣府の有識者は推薦が決まっているのに何を論議するのですか?

 外国人まで入れて 推薦に値しないなどの結論が出るはずの無い会議 意味が有るのか?

                         選ばれて、有識者です・・・・止めておきます。

 

 

 4)推薦決定までの論議

 

  会議の回数、議事録が有るのか探査してみました。

 

① 内閣:内閣官房地域活性化統合事務局の有識者会議」について

 

 ● 稼働資産を含む産業遺産に関する有識者会議(第1回)の開催について  平成24年7月3日            

          会議資料  九州・山口の近代化産業遺産群の概要について    議事概要 

          世界遺産として適切か否かの論議はなく、意見を述べたに過ぎない。 

                

 ● 稼働資産を含む産業遺産に関する有識者会議(第2回)の開催について  平成25年3月25日 

          「九州・山口の近代化産業遺産群」を巡る状況

 

 ● 稼働資産を含む産業遺産に関する有識者会議(第3回)の 開催について  平成25年8月27日

           ・世界文化遺産推薦候補(稼働中の産業遺産)について

 

  有識者会議は、3回開催されています。第2,3回の議事録は、探せませんでした。

  有識者の集まりで世界遺産と産業稼動資産の意見を述べ合った会議のようです。当然でしょう

 

 

② 文化庁: 世界文化遺産・無形文化遺産部会

 

  第22回文化審議会文化財分科会世界文化遺産特別委員会 議事録 平成23年5月26日

              ※1 詳細の議事録がありました。別途要約します。

  第1回文化審議会世界文化遺産・無形文化遺産部会    議事録  平成24年4月23日

              部会長 挨拶 

  第2回文化審議会世界文化遺産・無形文化遺産部会    議事要旨 平成25 年8月23 日

     稼働中の産業遺産を含む産業遺産群「明治日本の産業革命遺産九州・山口とその関連地域」について、

     内閣官房から意見を求められたことを受け、審議が行われ、文化審議会の意見を提出することとした。

 

    第1回文化審議会世界文化遺産・無形文化遺産部会 平成25年4月19日

                世界文化遺産特別委員会  議事録

              ※2 詳細の議事録がありました。別途要約します。

                 しっかり議論されているようです。是非、一読を 

    第2回文化審議会世界文化遺産・無形文化遺産部会 平成25年5月28日

                世界文化遺産特別委員会  議事要旨

                「鎌倉」「富士山」の対応について

    第3回文化審議会世界文化遺産・無形文化遺産部会 平成25 年8月23 日

                世界文化遺産特別委員会  議事要旨

    稼働中の産業遺産を含む産業遺産群「明治日本の産業革命遺産九州・山口とその関連地域」について、

    内閣官房から保全方策の妥当性の評価と遺産価値の評価について意見を求められたことを受け、審議が

    行われた。(内容非公開)

 

 

    ※1 第22回文化審議会文化財分科会世界文化遺産特別委員会議事録   平成23年5月26日

  【要約】 

 稼働資産は、企業が所有して、現在も生産活動がしっかり行われているような資産については、企業にお

ける生産活動への制約の懸念がある中で、どのように保存していくかという課題などが挙げられています。

稼働資産という固有の課題があるということで、「産業遺産の世界遺産登録等に係る関係省庁連絡会議」で

各省庁連携する会議が発足した。

九州・山口では認められて、他の資産にも適用されていくかどうかという問題が今後の問題として、各自治

体、無関心でいられないと思います。

 

九州・山口の稼働資産の扱いについて、方向性としては文化財保護法以外でも対応することを検討するとい

う方向性は打ち出されております。具体的にどうするのだ残念ながら全然見えていない。先程閣議決定とい

う話がありましたけれども年度内ぐらいに何とか方向性を出したい。

 

 

  ※2 第1回文化審議会世界文化遺産・無形文化遺産部会     平成25年4月19日

  【要約】 

  ● 長崎の教会群とキリスト教関連遺産群について

     ・価値付け、緩衝地帯の範囲等は確定、法的担保措置も完了という状況  

     ・推薦書の作成、既に完成、包括的保存管理計画も既に作成推薦目標は平成25 年度

     ・文化庁は昨年度、特別委員会での課題について協議、現時点で推薦可能であると判断。

 

  ● 九州・山口の近代化産業遺産群について  

  【文化庁の立場】

   ・「文化庁は文化財保護法では扱い切れない」とは、発言していない。

     ・ 内閣官房から意見提出依頼を受けた場合には、当委員会、部会の審議をする。

     ・「文化審議会における指定決定の答申を得るための意見具申に至らない」とあって、

       何も決まっていない状況と思われる。

     ・ 今年の夏に突然、推薦書が出てきて、決めろと言われても困ります。

     ・ 文化財保護法による、砂防ダムや琵琶湖疏水などの稼働遺産を管理している。

     ・ 稼働遺産であるから文化財保護法で保護できない・・・・・・それは誤解です。

 

    【保全措置】

     ・ 「所有者が、文化財保護法によらない保全措置をとりたい」他の方法で調整をする。

     ・ 最も適当な法律に基づく保全措置の中で、文化財保護法が一般論として排除されているという規定に

       はなっていない

     ・ 所有者の都合によって文化財保護法以外で保存を図りたいというのは基本的に不可思議。  

       何らかの形で文化財保護法による関与、担保というのは当然ある。

 

 

  5)今回の事件の問題点

 

1)世界遺産の候補選定に 文化庁より上位の内閣府が「政治力」で介入してきました。

2)文化庁の役割.使命を本来なら更に改善充実すべき時期に、政府が頭に載る行為は信じられません。

 

3)議事録などからは、「稼動資産は文化庁では扱わない」と文化庁が発言したわけではないと明言している。

4)文化庁で、扱えるように改正すれば良いことで、2年以上前から文化庁を外す意向があった。

 

5)文化庁外しの本当の理由は不明解だが、文化庁も手を拱いていた事も不可思議です。

  民主党政権での活動なら、安部政権になって改善させる陳情も出来たのでは?と残念です。

6)内閣府の有識者会議は、余りにも形式的で、出席者の・・・・も疑わざるを得ない。

7)稼動産業遺産として、登録までの活動を保全措置の課題を含みながら どこが主体的に牽引していくのか、

  「オリンピック招致」のごときパフォーマンスが発揮できるか心配です。

 

 日本の文化財の現状の問題点を整理し、世界遺産に対応できる文化財管理を提案していきたいと考えていた矢

先に、この事件。

全文化財の棚卸し、科学的調査、定量的評価の選定基準など日本の文化財の評価を世界的に、客観性の有るもの

へと改善していくタイミングで残念です。

 

外国からも 政治力で世界遺産、文化財指定が決まるのが日本の文化行政なのかと、思われてもしょうがない事

件と思います。世界遺産、文化財は、学術的で科学的な知見から決めて行きたい・・・。

まず日本の人々がどれだけ関心を持つか、日本で人気がなければ、世界の人々が「日本のものづくりの原点」を

周回して頂けるのか、・・・登録施設の看板が寂しくならないよう がんばってください。

 

 4-4 三角港ー1 4-4 熊本城ー1

       熊本 三角港                       熊本城


  最後に

まとめ

 

5-3

 世界遺産と文化財

 

要旨

 

 

 

日本の対応の歴史「条約批准・奈良ドキュメント」について

「世界遺産条約 作業指針 登録価値基準 審査基準 真正性」についての解説

「文化遺産登録、一覧表記載、一覧表に記載予定」の現況と問題点

「鎌倉」の失敗の反省を活かす。「桂離宮」「伊勢神宮」を世界遺産にする。

「正倉院正倉 旧富岡製糸場 国立西洋美術館本館など」の国宝指定の問題点

「長崎県の教会群と産業革命遺産」の資産候補の問題点と選定の問題点

 

 

要点

 

1、世界遺産候補はまだあります。

①伊勢神宮、②出雲大社、③桂離宮、修学院離宮 ④茶道と茶室 ⑤ 滋賀県湖東三山、

⑥松本、犬山城、そして、⑦京都・奈良の再編成

 文化庁は、日本全体の文化財を管理しているのなら、主導的なスタンスで強力に推進すべき

 

2、鎌倉の反省

世界遺産暫定一覧表に記載予定の候補のリストの中には、その反省を活かしていない候補

が散見されるのは、はなはだ残念!

 

3、伊勢神宮

通常の世界遺産の登録文化財は、「遺物」です。伊勢神宮社殿は「現物の遺産」です。!

だけど、資金は有る。信仰も厚い。 日本一番のランク・ 世界遺産登録など不要!

国造家の家訓、行事のごとく・・・・守秘義務を遵守・・・・登録しなくていいのだ!

 

4、正倉院と桂離宮

正倉院は、宮内庁としてなぜ、国宝にするのを認めたのか 謎です!

正倉院は、快諾・・・桂離宮は、駄目・・・何故?

 

5、世界遺産のために!

世界遺産構成資産の候補にするため 無指定の文化財が国宝に指定される。

候補推薦のため急遽、新しく重要文化財(国宝)を指定するのは、日本の文化財管理に

確固たる基準が無い事を世界に公表している。

 

6、近代産業遺産

登録資産候補の検討が充分でなく、強引に、釜石、萩を編入した感は拭えません。

ユネスコの審査で指摘されない、鎌倉にならないことを祈念します。

 

7、外国からも 政治力で世界遺産、文化財指定が決まるのが日本の文化行政なのかと!

 

 

 

問題

 

1、世界遺産のため文化財保護法が、歪曲されている。

2、本来、世界遺産に成るべき建造物が保有者の我が儘で拒否されている。

3、「鎌倉の却下」の反省が活かされていない。

4、文化庁の主導的な調査、指導による調整ができず、地方行政に依存している。

5、資産候補の選定にその例が多く見られ、整合性の無い候補が散見される。

6、政府の横槍、大企業の横暴に対処できる法、基準に守られていない。

 

 

今後

世界遺産ランキング  日本18件で13位 今後の目標 25件10位以内が目標?

このようなことには固着していないでしょうが、先ずは候補選定の、文化庁のスタンス、文化財保護法との関連など基盤整備をしないといけない点が多すぎるのでは?

 

 

   世界遺産と文化財・・・終わりです。  長々とお読みいただきありがとうございます。

 



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