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寺社建築と文化財の探訪<TIAS>

寺社建築の起源、歴史、文化財の紹介と文化財の問題点を探訪しています。 常時更新中です!
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カテゴリー  [ 7-1 寺社建築の用語解説 ]

古建築の用語説明と年代判別の方法

7-1 用語解説・年代判定



7-1 寺社建築の用語説明    古建築の用語解説と年代判定の方法   






(1) 目的

 

  古建築探訪マニア(素人)にとって、寺社建築探訪の目的の一つに、下記の項目があげられます。


 1、建造物とその部材の建立年代を、調査資料と確認する。(歴史的価値を確認する)

 2、建立年代が明確な建造物では、当時の部材と後補の部材を判別してみる。

 3、各部材を鑑賞し意匠的、技術的な優秀さを確認し 類似建造物の部材(資料)と対比してみる。

 4宗派的、地方独自性の有る形状、部材を確認し、類似建造物の部材(資料)と対比してみる。

 5和様、唐様、天竺様の部材を確認し 折衷されている状況を確認する。

 6、指定文化財として評価、価値の妥当性について 自分で考察してみる。



 これらの項目を的確に鑑賞、確認するには、「探訪前の調査資料の整備」「建造物とその部材の年代を

 する知識、情報が必須です。

 

 

   その年代、時代判定方法について、用語解説を併せてまとめてみました。

   参考にしてください。

 

(2) 建築様式による鑑別  

 tias善水寺ー2 東京正福寺-1 a6浄土寺浄土堂1 
   和様 善水寺(近江)     唐様 正福寺(東村山)     天竺様 浄土寺(播磨) 



 建築様式の比較表  

 

 

 

部材

和様(飛鳥時代以降)

唐様(鎌倉時代以降)

天竺様(鎌倉時代のみ)

折衷様(観心寺例)

1

石敷き、平安以降板敷

瓦を四半に敷くのが多い

板敷き

板敷き

2

円筒柱 面取り方柱

粽がある円柱+礎盤

粽が長い円柱

和様の円柱

3

組物

柱の上、詰組はない

詰組 柱間に組物

挿肘木 皿斗

三つ斗・双斗・詰組

4

肘木

下端 緩い曲線

下端 円弧

下端 緩い曲線

向拝柱:和様 礎盤

5

垂木

繁垂木等で扇状はない

扇垂木、隅扇垂木

一軒が多い、隅扇、鼻隠板

組物:和様の三つ斗

6

支輪

蛇腹支輪

板支輪

無い

中備:唐様の双斗

7

虹梁

無地 鎌倉以降眉、袖切

眉、袖切が有・海老虹梁

太い円形、両端が細い

唐様の大瓶束、虹梁

8

木鼻

彫刻は無い 鎌倉以降有

頭貫:渦巻式、若葉彫刻

天竺様独特の繰形

唐様の木鼻

9

斗束、蓑束で柱間に置く

大瓶束

円束

大瓶束

10

蟇股

和様の独特

無い

無い、木鼻を併せた形状有

和様の板蟇股

11

天井

組入れ、格、化粧屋根裏

鏡天井、外陣:化粧屋根裏

天井無し、化粧屋根裏

和様の組入天井

12

連子窓

花頭窓

連子窓の様なものがある

和様の連子窓

13

板唐戸

桟唐戸

桟唐戸

唐様の桟唐戸

14

高欄

組高欄、擬宝珠高欄

逆蓮柱、蓮葉束 架木蕨手

 

 

15

須彌壇

羽目に格狭間、連子が有

繰形を重ね唐草彫刻

 

壇唐様、格狭間

擬宝珠

16

長押

有る 柱上部に頭貫

無い 頭貫は有る

 

 

17

台輪

無い

頭貫の上部に板状の材

 

 

 

参考資料

・川勝政太郎著【古建築入門講話】昭和9年6月出版

 

 

    建築様式では、鎌倉時代が分岐点になる。鎌倉時代以前では「和様」のみでした。

    以降は「唐様、天竺様」が輸入され【折衷様」が生まれました。天竺様だけは、鎌倉時代で衰退しました。

 

 

    江戸時代以降は、これらの様式は、判別しにくく折衷様と括ってしまうには折衷様の名建築に対し寂しく、

    江戸時代以降は「爛熟様」を新設してもよいのかもしれません。

 

 

 

 【補足】 ・天竺様は寺院のみで採用されていて、神社建築では吉備津神社に部分採用例があるのみである。

 

      ・神社建築は和様が基本で 唐様は室町時代に一部採用されたが、本格的に折衷されたのは江戸時代。



 

 

(3)各部位、部材別の用語解説と年代判定 

 

用語辞典を作るのが目的ではなく、当ブログでよく記述される用語の解説です。

各部材の年代判定の要因を、調査できる範囲ですが極力記載しています。

 

 

 

1

 

リンク

写真1

  玉垣  【たまがき】

 神社の周囲に廻らせる垣の総称

wiki

 

  瑞垣  【みずがき】

 通常、垣は二重で社殿周囲を瑞垣、その外側を玉垣という

 

  版築  【はんちく】

 土を層状につき固めて建物の基壇や壁、塀等を造る方法

wiki

 

  筋塀  【すじべい】

 白色の横 筋を刻んだ築地塀。白色の横筋を定規筋という。

 五本の筋が最高格式

wiki

 

  透き塀【すきべい】

 塀の中ほどを連子・透彫りとして、内部が透けて見える塀。

 神社・廟にみられる。

 

  蕃塀  【ばんぺい】

 神社の参道上で拝殿の前に存在する短い塀 

 正殿を直視できないようにする、不浄なものの侵入を防ぐため

蕃塀

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

2

基礎部

 

 

写真1 

  基壇   【きだん】 

 敷地面より高い基礎・雨水浸入防止、周辺より高く盛り土

 

 

  礎石   【そせき】 

 建物の柱の基部に置いた石 木腐食、沈下防止(いしずえ)

wiki

 

  礎盤    【そばん】

 柱と礎石の間に置かれた石または木の台。唐様建築の様式

 

 

  亀腹   【かめばら】 

 基礎、多宝塔の層間等を、白漆喰固め饅頭形に造ったもの立ち 

 

 土台   【どだい】  

 本殿を井桁で組んだ木製の台に載せた形式、礎石が無い

 小型の春日造、流造の本殿に多く採用される。土居桁とも云う

 

 

 見世棚造 【みせだな】

 境内社や小祠に用いられる様式、流造や春日造の階を省略し

 て棚を付けた見世棚造という小型社殿様式

 棚(床)を貼り供物の棚とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3

外周部の部材

 

リンク

写真1

  浜床   【はまゆか】

  向拝の階段下にある板敷の縁。浜縁

 

 

  木階   【きざはし】 

  高床式身舎に登る階段 一木で作られ重厚で素朴なもの

 

  高欄   【こうらん】 

 (勾欄)縁の端に付ける手摺  

 下から、地覆(じふく)、平桁(ひらけた)、架木(ほこぎ)

 

  登高欄 【のぼり】

  階段部(木階部)の高欄

 

 

  跳高欄 【はねこうらん】

 隅で架木の端部を反り上げ(刎ね)ている高欄、平桁も突出

 

 

年代判定

   

 ●架木の反りあがり

 

 ・飛鳥時代は全て直線的で有るが

 ・平安後期には反り上がりがあり刎ね始め

 時代が下がると 更に刎ね上がりが大きく、金物で装飾される

 

 

  擬宝珠高欄 【ぎぼしゅ】

 柱の頭に擬宝珠の付いた高欄

 

 

  回り高欄 【まわり】

 平面が円形の周囲に設けられた高欄。多宝塔上層の縁に多い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4

擬宝珠【ぎぼしゅ】

 橋や寺社の欄干の柱上部の宝珠形の装飾。木、青銅製が多い

リンク

写真1

 

 名称:宝珠より下 「覆鉢」、くびれ「欠首」、円筒部「胴」

 

 

 

 擬宝珠は時代により形状が変化(鑑賞のポイント)

 

 

 

 胴の直径が大きく宝珠部分が小さいものを「鎌倉型」という

 

 

 

 宝珠の大きさは時代降下とともに大きくなる。

 

 

年代判定

  ●宝珠の形状

  年代降下:成が低かったのが凸型になる 胴より小さい

 

 

  ●首の長さ

       短いがだんだん長くなる

 

 

  ●胴の径(太さ)

       張りが有るものがなくなり、細く成る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5

 和風建築で、部屋の外側につけた板張りの細長い床の部分 

リンク

写真2

 切(り)目縁【きりめ】

 縁の長手方向に対して直角に縁板を張った縁。木口縁。

 

 

 榑縁  【くれえん】

 縁板を縁框(えんがまち)に対して平行に張った縁

 

 

 濡れ縁 【ぬれえん】

 雨風を防ぐ雨戸などの外壁が無く、雨ざらしとなる縁側

 

 

 脇障子 【わきしょうじ】

 神社や書院などで、縁を仕切る板戸や板壁。

 本殿の縁の奥にあり、板壁に絵画、彫刻があり鑑賞のポイント

 

 縁葛   えんかずら

 縁板を支えるため縁束(えんづか)頭部を内側で連結する横木

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6

外周の構造

 

リンク

写真2

 裳階    【もこし】

 仏堂・塔などで、本来の屋根の下につけた差しかけの屋根

wiki

写真5

 向拝   【こうはい】

 社殿や仏堂の正面に、本屋から張り出して庇(ひさし)を設けた

  部分。 御拝(ごはい)。→階隠(はしかくし) 後補が多い

 神社本殿、仏殿に多く各部材、彫刻など鑑賞のポイント

wiki

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7

戸・扉・窓

  wiki

リンク

写真3

 板扉

 神社本殿の身舎(内陣)の正面には外開きの板扉二枚が使われ

 厚い板で作られる素朴で重厚な扉である。重いため

 人が参入する外陣には原則として板扉は使われない。

 

 

 板唐戸【いたからど】

 開き戸として使われる扉。框を使わず一枚または数枚の板を矧

 いでつくり、多くは上下に端喰みなどを取りつけて反りを防ぐ

 

 

 桟唐戸【さんからど】

 唐様の典型  鎌倉時代に宋から伝来。 

 框(かまち)の中に桟を組み、その間に薄板や連子をはめた扉

 大仏様や禅宗様では長押がないので,貫に藁座(わらざ)を打

 ってその穴を利用して釣り込む。框でいくつかの部分に分かれ

 るから,そこに盲連子,彫刻や,輪違(わちがい)などの文様

 を表す花狭間と呼ばれる格子を入れたものもある。藁座には、

 金属と、木製が有る。繰り型があり年代により変化する。

 

 蔀戸【しとみど】

 格子を組み、間に板をはさんだ戸。日光・風雨を防止。 

 長押(なげし)から釣り、水平にはね上げて開き、L 字形の釣り

 金物で固定する。平安時代に現れ 寝殿造り社寺建築など用い

 られる

 

 連子窓【れんじまど】

 窓枠の内側に断面が方形または菱形の棒状の材をならべたもの

 

 連子子【れんじこ】

 縦に入っている菱形の材 盲連子:連子子の隙間の無いもの

 

 

 花頭窓【かとうまど】

 上枠を火炎形(火灯曲線)または、花形(花頭曲線)に造った

 特殊な窓である「火灯窓」 ・禅宗(唐)様建築の特徴 

 花頭窓は時代により肩の曲線形状が変化(鑑賞のポイント)

wiki

年代判定

●花頭曲線と脚部開き方

 

 鎌倉時代  花頭曲線が水平に近く脚は垂直

 時代が下がるにつけ 曲線の肩は下がり脚は開いてくる。

 日本の代表的窓で書院造にも展開

 

 

 横板壁 【よこいたかべ】

 厚く、幅広の板を横方向にはめた壁 板羽目とも云う

 宮殿建築から神社に応用され、縦板、漆喰壁は神社には無いの

 が原則だが、例外が御上神社、大笠原神社の漆喰壁である。

 

 

外開き・内開き

・神社は、古来から外開き。高床式で風雨の浸入を嫌うため

・寺院は、古代は内開き。土間式床で多少浸水しても問題ない。

 平等院、新薬師寺、唐招提寺などは、内開きです。

・平安末期には外開きになる。高床式になると以降全て外開き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8

軒裏ー垂木

 

リンク

写真4

 一軒【ひとのき】

 垂木が一段の地垂木のみ

 

 

 二軒【ふたのき】

 上下二段 

 上部の垂木飛檐垂木(ひえんだるき)

 下部の垂木地垂木(じだるき)

 

 

 地円飛角【じえんひかく】

 地垂木の断面は丸型(円型)、飛檐垂木の断面は角型

 

 

 平行垂木【へいこう】

 垂木を平行に並べるもの      【和様】

 

 

 扇垂木【おおぎだるき】

 扇を開いたように放射状配置の垂木 【禅宗(唐)様】

 

 

 隅扇垂木【すみおおぎ】

 垂木が屋根の4隅部分だけ放射状  【大仏(天竺)様】隅扇

 

 

 鼻隠板【はなかくしいた】

 垂木の鼻(先)を隠す部材 天竺様に多い

 

 

 繁垂木【しげだるき】

 垂木の間隔が狭く密集して並んでいるものをいう。  

 垂木が二段の二軒とき、二軒(二重)繁垂木という。               

 

 

 疎垂木【まばらだるき】

 垂木の間隔が広く、疎らに並んでいるものをいう。

 垂木が一段の一軒のとき、一軒・疎垂木という

 

 

 吹寄垂木【ふきよせ】

 垂木2本ごとにあるいは3本ごとに垂木の間隔を大きくとる割付

 で軽快な軒の感じがだせる。 

 

 

 化粧垂木

 軒や化粧屋根裏など見える所に用いる、

 美しく仕上げられた垂木。

 

 

 野垂木

 化粧垂木より上にあって屋根を支えている垂木。

 外から見えず、化粧を施していない。

 

 

 茨垂木【いばらだるき】 

 唐破風の屋根裏に使う。唐破風の曲面に合わせた垂木

 

 

 隅木【すみぎ】 

 寄棟・宝形・入母屋の屋根には隅棟が生じる隅に入れる材を隅

 木という。

 一軒の場合は直に作られるが二軒の場合には段付の隅木

 

 

 木負【きおい】

 地垂木の先端に据えられ、飛檐垂木を受ける部材

 

 

 茅負【かやおい】

 軒の先端で垂木の上に渡す横木。上に裏甲を載せ軒先を支える

 

 

 裏甲【うらごう】

 軒先の茅負の上にのせる化粧板

 

 

 論治垂木【ろんじだるき】

 二軒の場合、隅木と木負との交点から出す飛檐垂木

 

 

 配付垂木【はいつけ】 

 隅軒を作る垂木。地垂木、飛檐垂木とも側面に取り付ける。 

 

 

 垂木の割付詳細別図

 細長い部材を連続的に並べるときに、見付き寸法と同じ長さの

 間隔をあけて並べることを本繁割り 小間返し、縦繁、横繁

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9

斗栱 組物

   wiki

リンク

写真5

 斗  【と・ます】

 枡形(ますがた)1斗入りの枡の形に類似 用途で名称が異なる

 

 

年代

判定

 斗 ●斗の成(高さ)

 平安時代(厚い)   幅:成が10:8

 年代ので次薄くなる     ~

 江戸時代(薄くなる) 幅:成が10:5

 

 

 肘木 ひじき・栱】

 荷重を分散するために、柱と横架材のあいだにはさむ部材

 前後または左右にのよう横木・栱(きょう)とも云う

 

 

 斗栱  【ときょう】

 肘木(栱)と、桁や肘木を受ける方形の斗(ます)で構成

 斗組(ますぐみ)斗と栱で構成されるので斗栱ともいう

 

 

 舟肘木  【ふなひじき】

 柱の直上に置く 舟の形状をした肘木。組物とはいえないが

 日本独自の形状。神明造、大社造デハ、舟肘木すらない。

 

 

 大斗肘木【だいとひじき】

 柱の直上に大き目の斗(大斗)を置き 舟肘木を受ける

 

 

 実肘木  【さねひじき】

 斗栱で、最上部にあって桁を直接受ける肘木。

 普通、装飾的なくり形をつける。

 

 

 通肘木 【とおひじき】

 一筋に通った組物の上に一本通った横木(肘木)

 

 

 方斗   【ほうと】

 十字になった二方向の横材を受けている斗を方斗と云う

 

 

 鬼斗   【おにと】

 隅肘木の上にあって、上部の直角に交わる肘木の交点を支える

 特殊な形の斗。菊斗、隅斗とも云う。

 

 

 巻斗   【まきと】

 一方向の横材を受けている斗を巻斗と云う

 

 

 二つ斗  【ふたつと】

 大斗の肘木の上に、2個の巻斗を載せたもの

 

 

 平三斗  【ひらみつど】

 大斗の肘木の上に、3個の巻斗を載せたもの

 肘木と直行して内部から虹梁が大斗に組まれその端部が突出し

 ている。撥形をしており鯖尾(さばのお)と云う。室町以降は

 これに彫刻がされ拳鼻(こぶしばな)へと変化する。

 

 

 連三斗  【つれみつど

 三斗組の変形で、ケラバ側に二手先出したもの。四つ斗)

 一段目の肘木は、頭貫鼻を肘木型に作り出して形成される。

 向拝に多くみられる。 

 

 

 出三斗  【でみつど】

 平三斗の肘木を2本直行させ大斗の上に載せ方斗を置く

 

 

 出組   【でぐみ】

 出三斗の外方に出た巻き斗の上に平三斗をのせ丸桁を支える。

 一手先(ひとてさき)斗。

 

 

 一手先  【ひとてさき】

 出組の事 壁面より突出する方斗の数で三手先、六手先となる

 

 

 二手先  【にてさき】

 組物が何段階で持出しているかを手先という。二手は2段階

 尾垂木入り二手先、非常に珍しい 海住山寺五重塔

 

 

 三手先  【みてさき】

 3段階で組まれている組物。重文建築ではこの組物が多い。

  薬師寺東塔(奈良前期)  一部未完成

  唐招提寺金堂(奈良後期)  ほぼ完成形

 

 

 四手先以上

 多宝塔、天竺様建築にみられる

 

 

 疎組【亜麻組・あまぐみ】

 「和様の組物」の呼称・柱間に中備(なかぞなえ)を置く

 

 

21

 詰組   【つめぐみ】

 「唐様の組物」の呼称・柱間にも柱上と同様な組物を配置する

 

 

22

 挿肘木  【さしひじき】

 「天竺様の組物」は柱を貫通させる肘木で軒を突出させる

 

 

23

 中備   【なかぞなえ】

 柱間の部材 間斗束、蟇股、二つ斗等を置く。疎(まばら)組

 

 

24

 丸桁   【がんぎょう

 組物の一番先の手先で支持される桁をいい、屋根の軒を支える

 断面が円でも四角で丸桁という。 

 

 

年代判定

 丸桁  ● 断面形状

 奈良時代は円形が原則、

 平安時代でも円形があるが方形面取りがでてくる。鎌倉時代で

 は楕円形が原則となり、方形面取りもあある。

 

 

25

 尾垂木  【おだるき】 

 組物の途中で斜めに突き出し、斗を載せる材 

 屋根内部の荷重を受け 外部の斗を押し上げ均衡している 

 和様は四角断面、唐様は五角形の断面

 ・隅尾垂木すみおだるき 四方の隅に置かれる尾垂木。 

 

 

年代判定

 尾垂木●形状、木口切断方向

 飛鳥時代  方形で垂直に切断

 奈良前期  外側に斜めに切断

 奈良後期  内側に斜めに切断 その後傾向無し

 

 

26

 間斗束  【けんとづか】

 束の上に斗が乗るのを斗束 これを柱間に用いたことで間斗束

 裾広がりを        撥(ばち)束、

 束上部に装飾のあるのを  蓑(みの)束

 

 

年代判定

 間斗束  形状と高さ

 平安以前  長方形

 古い時代は高く 時代が下がるにつけ 成が低くなる

 

 

27

 支輪   【しりん】  

 軒の斗(ときょう)部分や折り上げ天井で、斜めに立ち上がって

 並列している弧状またはS字状の材。

 組み物によって送りだされた軒桁と軒桁のあいだを斜めの壁の

 ような部分を“支輪”と呼ぶ。並びが密なものを蛇腹支輪という

 

 

年代判定

 支輪  断面曲線の形状

 

 飛鳥時代  直線 円弧状の曲線で非常に緩やか

 奈良後期  膨らみが出る 平安前期まで

 平安後期  直立してくる

 鎌倉時代  端部が曲がる 

 室町以降  S字曲線になる

 

 

28

 木鼻  【木鼻】 

 頭貫・肘木・虹梁などの端が柱の外側に突出した部分

 握り拳や象・獅子などにかたどった彫刻などが施される。

 大仏様・禅宗様建築にみられる。

 

 

年代判定

 木鼻  ●彫刻の変化

天竺様では鼻繰りの1種類  鎌倉時代

・その後和様に採用され猪の目形に変化し、これが眼になり牙が

 つき象の顔に変遷していく

室町時代 象鼻が進展しより写実的になる後、獅子、獏、龍と

 なり動物彫刻で隆盛

 

 

29

 軒天井【のきてんじょう】

 組物によって送り出された部分にある天井。

 “小天井(こてんじょう)”とも云う。 

 

 

30

 腰組  【こしぐみ

 縁(えん)の下にあり、縁を支える斗きょう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10

構造部材 柱・横臥材

 

リンク

写真6

 掘立柱【ほったてはしら】

 古墳時代の遺跡に神社の柱跡があり皆 掘立柱である。

 古代では、神社は掘立柱、寺院は礎石から柱を立てる

 現在の掘立柱は、伊勢神宮だけで、例を見ない

 

 

 円柱   【えんちゅう】

 ・丸柱 平安時代までのエンタシス(胴張り)が有名 

 神社本殿の身舎には神の専用なのか円柱が使用される例が多い

 ・木材加工では角材から面取りし最後に円形に仕上げる。

角材より、手間がかかり、高価で、寺社建築では重要な建築

  は、丸柱が採用される。正式な神のための柱

 

 

 方柱   【ほうちゅう】

 面取り柱は時代が古いほど面取りの量が多い特長がある  

 神社の、拝殿・向拝・軒には、丸柱は使ってはならず、人が出

 入りするため、角柱とする・・ことが多い。

 

 

年代判定

 面取り柱●面取りの大きさ

(柱幅と面取り幅の比)

 平安時代後期 20%  鎌倉時代  15%

 室町時代   10%  桃山時代  8%

 江戸時代   7% 時代が降るほど小さい

 

 

 棟持柱【むなもちばしら

 社殿側面中央の、壁面より外側に飛び出し棟へ達する柱

 

 

 宇豆柱 【うづばしら

 大社造棟を支える棟持柱であり、妻の中央において壁芯より

 も外側へ飛び出すように配置される【出雲大社の出土柱有名】

 

 

 四天柱 【してんばしら】 

 仏堂の中心の四本の柱を四天柱という。

 四天柱は中央の須弥檀を囲むように配置され、仏像や文様など

 が極彩色に描かれることが多い。

 

 

 心柱  【しんばしら】

 塔婆建築の中心に立てられている柱。心柱は各層の柱や梁から

 離れて独立しており、建物を支える働きはない場合もある

 

 

    【ちまき】

 円柱の柱の上下端または上端において、角を落として丸めたも

 の唐様(禅宗様)に特徴的な意匠

 

 

 棟木  【むなぎ

 屋根を作る部材の一つで、母屋や桁と平行に、屋根の最も高い

 ところに配される横材。むねぎ、むねきともいう。 

 

 

 貫   【ぬき】

 柱を貫いて、柱をヨコに連絡する構造部材

 位置によって、下から地貫、腰貫、内法貫、飛貫、頭貫

 

 

 頭貫  【かしらぬき】

 柱の上端部を繋ぐ横材。

 柱の頭に溝を掘り、頭貫の端部を落とし込んで、柱と柱を結

 ぶ。通常、柱の頭の溝内で、頭貫の端部同士を結合させる。

 

 

 長押  【なげし】

 装飾的に柱の側面に貫と平行して付ける横材を長押という

 内法長押窓や出入り口の上に設けられる 腰長押 

 腰長押【こしなげし】窓の下に設けられる 

 

 

 台輪  【だいわ】

 柱頭と頭貫の上にのせる厚い平板である。

 禅宗様の建築に用いられ、和様にも取り入れられた

 

 

 虹梁  【こうりょう】 

 柱間に掛け渡した梁で、弓型に湾曲した形状を有する。

 虹のように反っているので、このように呼ばれる。 

 

 

 繋虹梁 【つなぎ 

 虹梁のひとつ。

 外陣などにおいて、内側の柱と外側の柱とを繋ぐ短い虹梁。 

 

 

 海老虹梁えび

 虹梁のひとつで、海老のように大きく反っているもの。

 繋虹梁として使用されることが多い。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

11

 屋根形式・材料

 

リンク

写真6

 屋根形式

 切妻、寄棟、入母屋、宝形が基本形で組合せで 錣(しころ)

 屋根等が有る。

 

 

 直線屋根【ちょくせん】

 平面の屋根面を持つ屋根

 

 

 照り屋根 【てりやね】

 曲面で下向きに反っている屋根  城郭

 

 

 起り屋根 【むくりやね】

 曲面で上向きに反っている屋根  桂離宮

 

 

 照り起り【てりむくり】

 上が起り、下が照りでS字曲面の屋根  厨子 一乗寺三重塔

 

 

 屋根の部位(別図参照)

 大棟、降棟、隅棟、稚児棟、妻降、破風、流れ、両下げ

 

 

 瓦葺   【かわらぶき】

 本瓦葺、桟瓦葺、行基葺     (詳細別図)

 瓦だけで学問になる。古い時代は年代判別方法も有る

 例外は有るが神社の屋根には、瓦は採用されていない

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 檜皮葺 【ひわだぶき】

 檜の樹皮を重ね厚みを出すが、軒の先端(軒付)は厚いが中間

 は大半空洞である。葺き替えに材料不足で修理は、順番待ち

 杉の樹皮で葺いたものを杉皮葺と云う。

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 杮葺   【こけらぶき】

 柿(かき)ではない。

 檜などの薄い板を重ねて葺く 厚さ約3mm 

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 木賊葺  【とぐさぶき】

 杮葺と同じ 杉・椹(さわら)・檜などの薄い割り板。厚さは

 板(こけらいた)と栩板(とちいた)との中間で、4.5~6ミリ

 

 

 栩葺   【とちぶき】

 杮葺と同じ  法隆寺金堂の裳階の屋根

 厚さ1~3cm、幅9~15cm、長さ約60cm程度の割り板

 

 

 茅葺   【かやぶき】 

・草葺、萱葺とも云う。藁が多いが葦、真菰(まこも)がある

竹簀巻き(たけすまき) 編んだ竹で棟の茅を巻く構造。日本各

 地で多く見られる。

置千木(おきちぎ) 木を組み合わせて棟を覆う構造。木材の豊

 富な山間部に見られる。

笄棟(こうがいむね) 茅を棟に積み重ね、屋根から突き出させ

 た木材に締めて固定する構造。

芝棟(しばむね) 意図的に木や草を生やし、その根で棟の弛み

 をなくす構造。

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 板葺  【いたぶき】

 幅の広い板1枚で葺き、重ねるか、目地板で雨仕舞いをする 

 

 

 銅板葺 【どうばんぶき】

 近年の材料で、瓦形、茅葺屋根形、など各種有る

 

 

 鳥衾   【とりぶすま

 大棟や隅棟の先の鬼瓦や鬼板の上から前方に突き出る円筒形の

 瓦。鬼瓦に鳥が止まったり、糞をかけたりしないようにするた

 め鳥が止まる場所としてつくられた。鳥休み、雀瓦とも言う。

 

 

 経の巻 【きょうのまき】

 棟飾りの獅子口(ししぐち)の上に三つあるいは五つ並べて置か

 れる、巻物に似た五角形の瓦

 

 

 鴟尾    【しび】

 大棟の両端上にすえる沓形の飾瓦

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    妻飾

 

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写真

 妻飾   【つまかざり】

 妻とは屋根の側面、切妻造と入母屋造には三角形の空間ができ

 る。この部分の架構による装飾を妻飾という。構造材そのもの

 であったが、妻壁に構造材の片面を露出させて妻飾とする。

 虹梁、蟇股大瓶束、彫刻を混合したものまで有る。

 

 

 扠首束  【いのこざす】 

 合掌部の斜め材を扠首竿(さすざお)という 左右二本の木材

 を合掌形(人字形)に組み、束を扠首束で支える形のもの。

 妻飾の最も普及した形式

 

 

 虹梁蟇股 こうりょう

 虹梁の上に蟇股を置いて棟桁を受けるようにした形。

 蟇股が大きくなることが多い。和様に用いられる

 

 

 虹梁大瓶束

     【たいへいづか

 虹梁蟇股の蟇股を置くところに大瓶束を置いたものであり唐様

 に用いられる

 

 

 二重虹梁蟇股

  【にじゅうこうりょう

 虹梁の上に蟇股を置き、その上に虹梁を架して、さらにその上

 に蟇股を置いて棟桁を受けるようにした形。和様に用いられる

 

 

 狐格子 【きつねごうし

 縦横の格子を入れたもの。木連(きつれ)格子ともいう

 縦子が前面に出る。本来、抓(つまむ)で狐と誤読した。

 菱格子も有る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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    懸魚

  HP

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写真6

 懸魚  【げぎょ

 「けんぎょ」「掛魚」とも云う。妻の破風の拝みにに設けられ

 る装飾材。桁の鼻を隠して風化から守る部材を装飾材としたも

 のであり、火災を避けるシンボルとして魚を象徴している。

 中央のものを拝懸魚、中間に有るのを降(くだり)懸魚と云う

 

 

 猪ノ目懸魚いのめ

 猪ノ目とはハート形のものをいい、猪ノ目や猪ノ目を二つ重ね

 た瓢箪形の刳り抜きを設けたものを猪ノ目懸魚という。

 クローバー形を逆向きにした外形のものが多い

 

 

 蕪懸魚   【かぶら

 猪ノ目懸魚が変化したものであり、全体の形状は似ているが、

 猪ノ目がなく、下部に蕪を連想する筋が刻まれている。

 野菜の蕪(かぶ)の形状と似ているところから付いた呼称 

 同体が細くくびれて、渦巻きのある形状が特徴。 

 縞模様の渦巻きは鱗目(うろこめ)と云う。 

 蕪懸魚は、平安時代後期(1086~1184)以降の

 建物に見られ、分類上最も数の多い意匠で、鰭(ひれ) 

 のあるものと合せて全体の4割弱を占め

 

 

 三ツ花懸魚みつばな

 猪目懸魚や蕪懸魚の変形

 蕪懸魚の下部の繰型が三方に分かれたような形をしている

 

 

 梅鉢懸魚 【うめばち】

 破風板に接合する五角の一辺を、屋根勾配に合わせて二等

 分したために、見た目が六角形の意匠となっています。

 梅鉢懸魚は、数の多い猪目や蕪と比較して数が少ない部類で

 1割にも満たない。

 

 

 兎毛通うのけどおし

 唐破風に設けられる懸魚を、特に兎毛通という。

 唐破風に中央及びその両側に懸魚を設ける場合、

 中央のものを兎毛通、両側のものを桁隠しという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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    破風

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写真6

 破風  【はふ

 屋根の切妻に付いている合掌形の装飾板。あるいはその破風板

 が付いている部分をいう。屋根に飾りとして形成される。

 

 

 入母屋破風いりもや

 入母屋屋根にできる破風。寺院建築、神社建築、近世の城郭建

 築(天守、櫓など)や書院造の建物などで多く見る。

 

 

 唐破風 【からはふ

  唐破風は日本特有の形式で、切妻のむくり屋根の先に曲線を

 連ねた形状の破風板が付けられる。照り起り(てりむくり)

 をつけた優雅な曲線に形成され、最も装飾性が高い。

 古いものは勾配が緩やかで、新しいものは勾配が急になる

 軒唐破風と向唐破風の二種類がある

 最古のものと考えられているものでは、石上神宮摂社出雲建雄

 神社の拝殿(鎌倉時代)

 

 

 軒唐破風のきからはふ

 唐破風の一種。

 屋根の軒先を曲線状に少し持ち上げて屈曲させたもの

 

 

 向唐破風むこう

 出窓のように独立して葺き下ろしの屋根の上に千鳥破風のよう

 にして造られる。

 

 

 縋破風 【すがるはふ

 主屋や屋根の先にすがり付く片流れの屋根の側面に取り付けら

 れる破風

 

 

 千鳥破風ちどりはふ

 切妻破風を葺き降ろしの屋根に直接置いて造られる。

 妻側の面を正面に据えるように付けるので据破風(すえはふ)

 とも言う。八棟造の神社建築や天守建築三角形の破風。

 屋根の上に据えるだけの構造であるので、制約が少なく、最も

 一般的に用いられる。千鳥破風を並べたものを比翼千鳥破風

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 屋根飾り

 

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写真6

 千木    【ちぎ】

 神社本殿の棟に 斜め上方へ突き出した一対の部材。

 古墳時代の家型埴輪の屋根にも作られている。

 もとは切妻造の破風を屋根上に突き出した材であるが、別の材