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寺社建築と文化財の探訪<TIAS>

寺社建築の起源、歴史、文化財の紹介と文化財の問題点を探訪しています。 常時更新中です!
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文化財建造物の保存修理を考える第1回シンポジウム「保存修理の理念とあり方」

9-1 報道シンポ参加20131116


 文化財建造物の保存修理を考える

      第1回シンポジウム「保存修理の理念とあり方」に参加しました。

 

1、シンポジウムの概要

 2013年11月16日に東大の工学部の大講義室で開催された公演を聴きに行きました。

 文化財建造物保存技術協会が主催で文化庁後援で開催され400名ほどの参加者でした。盛況です。

 5名の講師が40分間の講演、40ページの資料集を配布され、パワーポイントでの説明でした。

 

2、当ブログとの関連

 今回、期待していましたのは、当ブログので記述した、文化財の問題点の回答が出てくるかでした。 

 

3、当ブログの「文化財の問題点」と講演内容の対応

    旧国宝(1950年までに指定された)を全て重要文化財に指定した。

     いまだに見直されていない重要文化財についての講演でのコメントは、ありませんでした。 

     ● 日本の文化財の管理は 宮内庁、文化庁、政府と多極化している。 

     講演でのコメントは無い 

    ● 日本の文化財の選定は「文化の継承」を評価していない。

     伊勢神宮の写真は出てきたが、単に新築の繰り返しは文化財ではない・・・程度でした。 

    ● 天皇家の財産は、国指定文化財になりつつあるのか? 

     講演でのコメントは無い

   ● 部材の伐採年代が明確になると 重文が国宝になる。

     直接的なコメントは無いが、指定された理由(報道資料)の価値についての論評があった。

   ● 文化財指定の報道文書には、指定された「根拠の説明」が無い。 

     具体的説明の不足には言及されていないが、価値の論議があった。 

   ● 世界遺産登録と文化財指定に齟齬がある。 

     石の文化圏の人々に木造の文化を理解させる努力が紹介され奈良ドキュメントなど参考になった。

   ● 震災で全壊・新材で再建・原形資料等は推定、様式が古いので国宝です。 

   ● 震災で2回全壊・新材で再建・原形資料があり、有名なので国宝です。 

     根本修理、新材の採用、古材の保管等、復原に対する賛否が文化財専門家トップでまとまっていな

     い事が判明し、修理に対する、基準ルールがなく担当した専門家の判断基準で決定されている。

   ● 新東京駅丸の内駅舎は、文化財指定基準に合致していないが重文です。  

   ●  文化財修理の方針決定は、文化財指定の基準と同様 根本的改善を! 
       建築遺構解釈学と云う学問があるそうで、評価法を明解に確立すべきと云う意見があった。 

   ● 日本の文化財の審査基準は、世界遺産の審査基準に凌駕されている。

     文化財は、複合的価値の集合体で民俗芸能までの範囲を包括すべきとの意見は、賛同したい。  


    明解な一致はありませんでしたが、共通な問題点を述べられている専門家が居られたことがうれしく
    参加した成果でした。来年もあるとの事 又拝聴に行きます。



 

4、各講演内容のコメント           5人の専門家が講演されました。

   1)保存修理の歴史

     各年代ごとに文化財の修理の基準的なことが述べられている。

     ① 古社寺保存法以前 明治初期から中期

       特異な点 ・構成の修繕が明白な場合はなるべく復古する。

            ・隠蔽されている内部の構造形式を犠牲にしても、外部の建築様式を維持する。

            ・詳細精密な図面を作成し、官が保存する。

 

     ② 古社寺保存法  明治30年以降

       特異な点 ・古代、中世を中心とした社寺建築の保存

            ・外観の意匠と形態の維持し、小屋裏など見え隠れ部分での改造と補強をする。

            ・明らかに後補と解かるものの撤去、根拠の無い部分は現状のままとする。

            ・現状変更の規制は無いが 屋根材の復旧、変更、場所の移転は行われた。

            ・部材の取替えは傷が多いと行われていた。古材を残そうとはしていない

       修理事例  中尊寺金色堂・大報恩寺本堂・新薬師寺本堂

 

     ③ 復原論争 ・現状を保存する。・建築当初に復旧する。・古形式に準じて新築する。

             の3案で論争が始まる。

       辻善之助 明治34年 論争を受けて下記を発表

        ・後世の改変で建築形式を損害する場合は、原形式が明瞭な場合は、復旧する。

        ・後世の改変か、建築形式が不明な時は、そのままにし後日の研究に資する。

        ・後世の付加であっても原形の詳細が解からない時は想像による復旧はしない。

        ・後世のものでも歴史上、美術上などに価値があるものは保存する。

        ・構造の方法は、堅牢のために踏襲しないこともある。

        ・古材は出来るだけ応用し、古色は保存する。

       修理事例 法起寺三重塔・西明寺本堂・唐招提寺金堂・東大寺金堂・平等院鳳凰堂・天恩寺仏殿

            

     ④ 関野貞 古建造物保存事業  昭和4年

        ・当初の構造形式は、尊重する。腐敗した材料を新たにする以外変更は、許さない。

        ・建造物の位置は、原則として動かさない。

        ・一部が後世の増改築で当初の平面細部を変更していても不都合が無い限り現状のままとする。

        ・変更に当初の構造形式を微すべき明確な証拠がある場合は復旧することが出来る。

        ・色彩装飾は現状のままとし剥落防止にとどめる。取替え材は、古色塗りとする。

        ・修理前後の実測図・写真・模型を作成する。   

 

   ⑤ 国宝保存法    昭和4年

      ・現状変更の規制 許可制  維持修理に補助金交付

      ・腐朽破損箇所の修繕を主とし 従前の構造・意匠・形式手法を維持し努めて古材を使用する。

      ・現状変更は、建造物自体の保存上やむをえない場合、構造意匠・形式手法の保存上 特に復旧

       が必要な場合のみ許可される。

       修理事例  正福寺地蔵堂・法隆寺各建物

 

    ⑥ 文化財保護法  昭和25年

       ・国宝・重要文化財の2段階

       ・近代建築、産業遺産、民家、土木構造物まで保存範囲を拡大。

       修理事例  法隆寺各建物・当麻寺本堂・金剛輪寺三重塔・瑞龍寺伽藍・民家他

 

    ⑦ コメント

       歴史的な修理に対する考え方の変遷を述べられていました。明治時代は、外観の意匠重視で、

      小屋裏の構造は、堅牢さを求め大幅な変更がされていたと事がわかります。

       また、原形式が明解な場合は復旧する、不明かな場合は現状維持、古材を残すと変化して来て

      いる事がわかるが、古材が無いのに指定されているものもあるし、明解な資料とは何か、不明解

      との境界は何があるのか・・・具体的系統的に修理の基準の変遷が述べられて欲しかった。

      明治時代は、栄山寺八角堂・円成寺楼門屋根などが無いのに、証拠も無いのに復原?している

      でも、国宝・重文指定されています。また、重文指定されていない、地方に多い文化財の修理は

      無秩序であったのか地方に差があって優秀な補修をしてきた大工が居るのではないかと・・・

      探究心を刺激します。

 

 2)保存修理の現状ー技術者の立場から

     保存修理の考え方の変化

     昭和40年以降について説明されている。

       平成6年 「日本の建築保存」イコモス木の委員会

       平成10年「歴史的木造建造の保存にための原則」イコモス木の委員会  資料あり

       平成15年「木造建造物の保存修復のあり方と手法」奈良文研

       平成24年「歴史的建造物の保存と修理」文化財主任技術者の講義資料 鳴海

     の紹介がある。平成10年の資料は添付されています。今後その他の文献を探してみます。

     設計・監理、工事運営、調査、教育と課題が多岐に亘っている、大変なことだと再認識。

 

 3)日本の保存修理ー国際的見地から

      ベニス憲章、奈良ドキュメントを読めたことが最高。

     石の文化圏に対して木造文化を理解せしめる、基準を同化させることは大変困難なことと理解

     東欧ポーランド南部に木造建造物の文化があるとの事・・・今後、調査してみます。

 

 4)時間の考え方

     論評する意味が無い講義でした。

 

 5)保存修理の考え方

   この講義内容は、一番興味を持ちました。

   文化財は、どの時代どの地域で文化的価値の創造に貢献してきたのか?

   文化財=建造物は、その文化創造の一つの道具としての役割であり主役ではない、と認識すると共に 

   民俗芸能にまで文化財の価値を拡大し充実させるスタンスには賛同する。

 

5、まとめ

     時間がなく討論の場に居られず残念であったが、有意義な講演であった。文化財の修理、保存に対して

    専門家が昔から苦慮し、論争してきた実態が垣間見れ 現在も、まだ決定的な基準に至っていないことに

    今後も個人で調査研究していく余地があるのかと・・もう少しがんばってみようという気になりました。

 

    専門家の先生にも各種の観点から、研究されておられるようだが意義が感じられない講演があったことだ

    けが残念でした。自己満足は、素人だけで充分です。


                              おわります。調査結果を後日に!


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